摂食嚥下センター

摂食嚥下センターでは、医師・歯科医師・歯科衛生士・病棟看護師・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・管理栄養士・薬剤師たちがチームを組んで質の高い評価と訓練を行い、患者さんの生活再建につなげていまます。

早期から適切な口腔ケアと積極的な摂食嚥下訓練

高齢の患者さんや、体力が低下している患者さんでは、どのような疾患であろうと、何らかの摂食嚥下障害が生じています。注意しておかないと誤嚥性肺炎をおこし、さらに体力を落としてしまい、摂食嚥下機能がさらに悪化する、ということになりかねません。 私たちは全ての患者さんに対して、早期から適切な評価を行い、必要な方には積極的に口腔ケアや摂食嚥下訓練を開始します。

入院時からの摂食嚥下のスクリーニングと口腔ケア

歯科医師、歯科衛生士は入院してこられる患者さんの口の中を診察し、虫歯や歯周病などはないか?義歯は患者さんの口に合っているか?ちゃんと噛めるか?などとチェックし、必要な患者さんには歯科治療を行います。

摂食嚥下リハビリテーションチーム

構成を下の図に示します。

摂食嚥下リハビリテーションチームの構成

摂食嚥下カンファレンス、摂食嚥下回診(図1)を定期的に行い、入院早期から患者さんの食生活の質の向上を目指します。

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摂食嚥下チームの主なメンバーと役割

医師・歯科医師:常勤4名・非常勤6名
・リハビリテーション科専門医・指導医:常勤(稲川)
・リハビリテーション科専門医・脳神経外科専門医:非常勤(稲田)
・歯科医師:常勤(中島・坂井・長田)、
専任非常勤(中川*・吉見*・宮原*) * 東京医科歯科大学歯学部所属
・耳鼻咽喉科医師:専任非常勤(上羽**・佐藤**) **東京大学病院耳鼻咽喉科所属

医師・歯科医師は、嚥下障害の診断・治療、リハビリのプログラム設定、全身管理、リスク管理、内服管理などを行います。必要な患者さんには、VF:嚥下造影検査(図2-1~2-3)、や、VE:嚥下内視鏡検査(図3-1、3-2、3-3)を行い嚥下機能の評価を行います。

当院では東京医科歯科大学歯学部および東京大学耳鼻咽喉科と連携して、より高度な嚥下機能の評価・訓練・治療を行っています。
東京大学耳鼻咽喉科との連携で、気管切開を受けた患者さんへの「気管切開孔閉鎖手術」、重度の嚥下障害を有する患者さんへの「嚥下機能改善手術」、「誤嚥防止手術」など外科的治療も行っています。この場合は東京大学病院への入院となります。

2020年10月現在の摂食嚥下センター専任の医師・歯科医師の体制を以下に示します。

歯科衛生士:常勤5名

当院の歯科衛生士は入院中の患者さん全員を対象に、機能的口腔ケアを実践し、患者さんの口腔衛生の維持、咀嚼嚥下機能の改善、肺炎予防などに向けて取り組んでいます。 摂食機能療法を導入し、病棟看護師とともに患者さんの病棟生活に深く介入しています。

看護師:各病棟(3階~11階の各フォロアにを配置)

リンクナースナースを中心に、看護師は医師・歯科医師・歯科衛生士・セラピストと密に連携し患者さんの全身管理、リスク管理、食事場面の評価、食事内容の検討、食事の介助その他の生活支援などを行っています。

セラピスト:言語聴覚士(ST)・理学療法士(PT)・作業療法士(OT)の各担当

STは摂食嚥下機能の改善に向けた中心的な役割を担っています。
医師や歯科医師とともにVE・VF検査を試行し、患者さんの摂食嚥下機能の改善に向けたアプローチを行います。
当院では訓練にジェントルスティム(図4)やバイタルスティム(図5)などの電気刺激療法も活用しています。
PTやOTは嚥下機能の改善に重要な、呼吸、体力、姿勢、などの全身機能の改善に向けてアプローチします。良好な姿勢を保持することは、良好な摂食嚥下を促すための重要なファクターです。

管理栄養士:各病棟担当

摂食嚥下障害を持つ患者さんは多くが低栄養の状態です。栄養がとれないとリハビリは進みません。管理栄養士は患者さんに良好な栄養が提供できるよう食事の内容や形態を考えています。

薬剤師:専任1名

患者さんが、服用されている薬の内容によってはその副作用として口腔内乾燥や味覚低下を惹起し食欲を低下させることがあります。また、口腔機能や嚥下機能そのものを低下させてしまうこともあります。
摂食嚥下における内服管理は非常に重要です